1. 「ファンド向けエクスポージャー」とは?
バーゼル規制では、ファンドに対する投資は、その構成資産のリスクを間接的に保有する形態として扱われます。
対象には、投資信託、私募ファンド、プライベートエクイティファンド、ファンド・オブ・ファンズなどが含まれます。
2. ファンド向けRW算定の基本
ファンドのリスクウェイト(RW)は、次の4つの方式のいずれかで算定し、そのRWをファンド全体のRWとしてみなす形で自己資本比率計算に用います。
IRB適用行であっても、ルックスルー方式を選択できる場合には、構成資産ごとにIRB方式を適用可能です。標準的手法の適用が義務付けられるわけではありません。
3. ファンド向けRW評価の4方式
方式 | 概要 | 適用条件 |
---|---|---|
ルックスルー方式 | ファンドの構成資産を把握し、それぞれに対応するRWを適用。IRB適用行は構成資産にIRBを適用できる | 明細情報の取得が可能な場合 |
マンデート方式 | 投資制限や目論見書等に基づき、想定ポートフォリオに対してRWを算定 | 明細は得られないが運用制限が明確な場合 |
蓋然性方式 | 構成資産の特性が疎明可能で、RW250%または400%を下回る可能性が高い場合に固定RWを適用 | 疎明資料がある場合 |
フォールバック方式 | 他の方式が適用できない場合、一律でRW1250% | 情報がほとんど得られない場合 |
4. 【解説】蓋然性方式の適用要件と固定RW水準
固定RW | 判定基準(疎明可能な場合) |
---|---|
250% | 比較的安定した資産(上場株式、国債等)が主体で、投機的資産の蓋然性が低い場合 |
400% | 非上場株式や投機的資産が一定割合含まれるが、比率が明確に制限されている場合 |
5. 実務上の留意点
- プライベートエクイティファンドやヘッジファンドでも、投資家向けに一定の情報開示がある場合はルックスルー適用が可能
- ファンド・オブ・ファンズの場合、階層を遡って各資産にRWを適用する必要あり
- 蓋然性方式の適用には、目論見書や運用報告書などの疎明資料が必須
- フォールバック方式(RW1250%)は資本負担が非常に大きいため、可能な限り回避が望ましい